山並みを望む住宅地に建つ、ロープロポーションの住まいです。リビングから2階へと続く大きな吹抜けは、家族の気配を感じさせるとともに、風や光の通り道にもなります。尺角桧の大黒柱や木組みに守られた見える安心感を感じながら、ワンルームの様でありながらも場面に応じた暮らし方が楽しめます。
第17回TH大賞 敢闘賞受賞
真壁のリビングです。落ち着いた藁入りの漆喰壁は柔らかい光をつくりだします。冬場は2階の窓からの光りが北側の壁まで明るくします。左側の太鼓襖は月桃紙張りです。真壁の家では構造材が露出して線数が多いためシンプルな建具や家具が空間に広がりを与えます。
家に何を求めるのかは人それぞれですが、仕事の疲れを癒し、明日への活力を得るために炉端で語らう時間を持つのも良いものです。個性ある柱や梁に囲まれながら外を眺めるのも気分が安らぎます。
尺角桧の大黒柱は家を支えながら、家族のこころも支えます。
大黒柱の先端は、赤松の地棟梁に差し付けています。
明るく開放的なフリースペース。白く見える建具は風を通せる防犯通風襖です。窓は連窓にすると視界はずっと広がります。柱があってもそれほど邪魔にはなりません。
窓の外には小さなバルコニー、内側にはインナーバルコニーがあり、時には物干しに、時には昼寝にと自由に使えます
西側下屋は、玄関へ導くゲートの役割を果たします。4つの小窓は状況に応じた通風と採光を楽しめます。
2階は漆喰仕上げ、1階はメンテナンス容易な杉板縦張りです。壁内部は竹小舞下地の土壁です。
深い軒は雨の日にとても役に立ちます。西日除けにも有効です。土間の仕上げは豆砂利洗い出し仕上げ。
住まいは周りの風景にとけ込むことも大切です。山の景色や空の色に合わせたデザインも大切だと思います。屋根の勾配は遠方の山の傾斜に馴染ませました。