植木のまちとして知られたこのまちには、春になると多くの木々が芽吹き始めます。周辺環境に敬意を払った低めのプロポーションの住まいです。下屋付き2階建て 40.5坪(吹抜け含む)
2011埼玉県産木材住宅コンクール最優秀賞受賞
10年もすると、漆喰は益々白く、杉板は深みを増した色へと一様に変化します。色の変化や木目の表情など自然の素材の魅力は尽きません。
庭への緩衝帯のウッドデッキは、多目的に使えます。県産の桧赤身を使っています。
木の変形を少なく反りにくくし、赤身の割合を増やすため杉板は木裏を表面にしています。
端部は溝に要れ、継手はそぎ継ぎにしています。
隣家の庭は一新されました。庭木の緑と杉板や漆喰はよく馴染みます。
4寸5寸の角垂木を半間ピッチで配置した小屋組で、低い軒桁に対応した造りです。頭が当たらない程度に低く抑えた屋根により、包まれ感のある落ち着いた部屋に仕上がりました。窓の鴨居高さは1350ミリ程で、軒の出は1400ミリ程です。
今は光と風を呼ぶ吹抜けは、将来の変化にも対応し易く造っています。吹抜けの6畳部分には比較的容易に床を張ることができます。手摺を取り外しても再び取付けられるよう取付け方法を工夫しています。つまり元にも戻すのが容易な造りです。
上下階での会話も可能な吹抜けは、離れていても家族の気配を感じさせてくれます。差し鴨居を用いて、骨組みを安定させます。棟持ち恵比寿柱は直接屋根の荷重を受け、スムーズな力の流れをつくります。
適寸の材料は、素直な雰囲気をつくりだします。通路を取り込んだリビングは、各所にアスセスし易いリビングアクセス型です。右に見える階段は、2階にアクセスし易く、どこからも近い位置に配置しています。構造材の半間毎に配置した床梁は、6メートルの長尺材を敷き梁に渡り顎で組んでいます。通し柱と通し梁を適所に組んだ骨組みです。
施工途中の様子
もうすぐ足場が外れます。通し柱は真壁納まり、管柱は大壁の納まりの家です。
漆喰の素直な白と真新しい無垢板の表情が周辺の景観に馴染むことを期待しています。
下屋越に眺めた様子です。
2階の軒高は低いです。1.6メートル程です。それでも棟の部分は2.7メートル程あります。
中央の養生してある柱が大黒柱の8寸角西川杉です。
棟持ち恵比寿柱です。地元埼玉の木が別の命を与えられたところです。対になるところに棟持ち大黒柱が立っています。
長く継がれた棟木の入る瞬間です。全員で息を合わせて納めます。
登り梁を仮にかけた状態です。全体のバランスを考慮しながらさらに組み込みます。
たくさんの登り梁が厨子二階(つしにかい)の空間を包みます。
加工が完了すると、全品検査します。乾燥収縮などによる変形箇所はこの際に修正されます。