歴史を感じさせる川越街中の小路(こみち)の先にある住まいです。変形敷地形状を利用し、たくさんの居場所が生まれました。気分や季節によって楽しみながら暮らすことが出来ます。地元西川材と土壁を使い、伝統的な構法を採用しながらもシンプルモダンなたたずまいを持つ住まいです。
埼玉県産木材住宅コンクール2010最優秀賞受賞
平成22年度川越都市景観デザイン賞受賞
第21回TH大賞 地域優秀賞受賞
芝生の庭の奥にある格子壁の様子です。程よく日差しと視線を遮り、風は通します。芝生とウッドデッキの庭からストレートに風を通り抜けさせることで心地よい居場所ををつくりだします。門を入ると芝生の庭がお出迎えです。アプローチの石はさび御影石です。
栗材のウッドデッキの庭です。写真正面の木の壁は隣地のアパートやマンションからの視線を遮ります。
2階から入った光は、吹抜けを通って1階リビングを明るく照らします。夏場は、1300ミリ程の深い軒先が日差しを遮り、庭で加湿冷却された涼風を呼び込みます。簀の子床は適度に1階と2階を近づけます。風が通り抜けるので室内干しはここで行います。
西川桧8寸角の生き節材をあえてリビングの適位置に設けました。森を感じながらの暮らしです。
18畳のリビングには、小上がりコーナー、テーブルコーナー、ピアノコーナー、ストーブコーナーがあり、季節や用途によっての居場所を選べる多目的ルームです。引き込み戸を開け放つとウッドデッキの庭に繋がります。
設計:綾部工務店
施工途中の様子
外壁の杉板は、丸太を角材に引き落とした材からつくった節の少ない板です。素材を無駄にしない造り方が昔から受け継がれています。
吹抜けを介して1階と2階が一体となったリビングです。
北側隣地からの外観です。手前側に板塀が出来る予定です。
東側の外観は、真壁漆喰と杉下見板張りです。素材同士がやさしい表情をつくっています。
野地板と床板に樫のダボを仕込みました。水平面の剛性を高める仕様です。
荒壁付け前に足踏みで土をこねています。壁土は隣町から、藁は自社栽培です。
竹小舞掻きは、建て主さんや大工達も参加して、左官屋さんと共に行いました。壁の中がどうなっているのかわからない最近のつくりに反して、敢えてアナログっぽさを感じる造りは、理解し易い安心感を持つことができます。人の手仕事で家は出来るのだなという実感を持つことができる作業でした。
大黒柱が母屋を支え、軸組を安定させます。フリースペースの天井には伸びやかな角タルキが整列しています。
上棟式の様子です。長い刻みの期間が終わり、建て主さんと大工が共に建った実感を感じる時です。
建て主さんに取っての良き思い出の一コマ、そして近所の方々に対し、ここに住む事をお知らせする良い機会です。
散餅の一コマです。空中を飛んでいるのが餅です。近所の方々や保育園の子供達も集まっていました。
建て方初日は、半日ちょっと建てる為の準備を行いました。足場に経っている軸組は場所があいているときに組み立てました。
材木の嫁入り。いよいよ建て方です。
リビングの地松は、自社自然乾燥2年ものです。十分な時間をかけているので材が安定しているようです。
念のために柄に荒加工を施し、数日落ち着かせてから本墨と加工に入ります。
今日は一日中、建て主さんも参加しての刻み作業が行われました。お疲れさまでした。木の重量を感じ、この材料は何処から見えるかなど、一緒に木配りも行いました。自分の家を共に造るということを楽しんでらっしゃいました。写真は、ご主人が角垂木の面を取っているところです。
2008年秋に梁材の積み直しをしているところです。墨付けする直前まで桟を入れて自然乾燥させます。
8寸角の桧の大黒柱です。製材から9ヶ月ほどで含水率は、ほぼ20%になりました。自然乾燥です。
2008年の夏に荒壁土の練り置きを開始しました。この後藁を足して練り直しています。
自社栽培の藁を適当な長さにきっているところです。
柱や土台の入荷がありました。梁類は材木店で、桟積み乾燥中です。
造作材に使用する板が入荷しました。(手前の板)去年の秋切り材です。現在含水率50%前後で、秋には使える状態まで乾燥します。奥の板はもう少しで乾燥します。
奥の松太鼓材は入荷から1年半から2年半経ち、使い頃です。中から合うものを選びます。