住宅の構造には大きく分けると木造、鉄骨造(軽量含む)、鉄筋コンクリート造(以下RC造)があります。
鉄骨造は、鉄と鉄を鉄のボルトで固定して構造体を造ります。RC造は、柱や梁を鉄筋とコンクリートを使って一体化させ構造体を造ります。そして、木造はというとその大多数は木と金物を用いて構造体を造ります。鉄骨造とRC造は、その名の通りの素材を使用して造るのに対し、何故木造は、木だけで構造体を造るということにならないのか不思議だと思いませんか、多くは木と金物を使って造るのだから木金物造の方がわかりやすい名称だと思うのですがいかがでしょうか。
これまで木造の住宅は歴史の中で大多数を占めてきました。伝統的に造られてきた木造は、金物補強を必要としないため、木造の名の通り、木と木を木で固定して構造体を造ります。同じ素材同士の組み合わせなので樹種が違っていてもその特性は似ていて、木と金属などのように異種の物よりもずっとなじみは良いわけです。例えば手と手を繋いで引っ張り合う場合、どちらの手も大きく傷つくことはありませんが、相手が金属や石である場合柔らかい手が傷ついてしまう場合があります。木造にも同じことがいえる訳で、金属と木材では木材が負けてしまうことが多い訳です。
まず、木を構造に使いたいと考えた場合、木の特性をよく考えてみましょう。小さな木は簡単に手で折れてしまいます。爪を立てれば傷が付くし、たたけば潰れる。つまり、柔らかく脆い訳です。しかし、手触りが良く、目に優しく、香りがよい、そして柔軟性があり軽いなど良い点も多くあります。生物である人間が植物である木と近い関係にあるため相性はもともと良い訳です。
では、なじみの良い木同士で構造体をつくるにはどうしたらよいか。構造体は地震や台風などの外力に対し強くなければなりません。そこで、鉄骨やRCに比べると弱い接点ではありますが、弱い接点でも数多くつくり力を分散させることができれば、全体で持ちこたえる構造が成り立つ訳です。少ない接点で剛強に持ちこたえるのではなく、多くの接点(木組み)で強靱に持ちこたえる構造こそ木材の特性を生かした理想的な木造の姿といえます。
長くなりましたので、具体的なお話はまた次回。
2006年3月6日