大工だからできる家

木の家づくりには、木の知識や経験が必要です。
常に木に触れ、木を知り抜く大工棟梁と、
木の性質を活かしきる
家づくりをしませんか?
綾部工務店の大工棟梁、綾部孝司が書いてます。
2009年6月6日

木の乾燥(どちらを選ぶ)

木は乾燥していた方が良いと言われ、法律でも含水率が決まっていますが、注意しなければならない点があります。

写真の左側が、KD材といわれる高温乾燥材、左側が天然乾燥材です。
それぞれの特徴はというと、
KD材(高温乾燥材)の特徴
・色がくすんでいる
・内部にヒビがあり、表面には無い
・短時間で乾燥できる
天然乾燥材の特徴
・色がきれい
・表面にヒビがあり、内部には無い
・乾燥に半年〜2年かかる
柄が命の伝統的構法では、内部にヒビが出にくい天然乾燥材が素材として向いています。
次の写真の様にKD材を組んでいたところ内部のヒビが広がり2つに割れてしまいました。
一番下の写真はKD材に長柄をつくったもの、半乾き材で代用しこの材の使用はしませんでしたが、こんな材が流通している事は怖い事だと感じています。隠れた瑕疵に該当しそうです。



皆さんは家をつくられるときどちらを選ばれますか。


2009年4月12日

参加してみる

自分の住む家を良く知る為には、一緒になってつくってしまう事が手っ取り早い方法の一つです。もちろん参加しにくいと言われる大工工事も参加することができます。只今刻み中の住宅は毎週土曜日建て主さんが手伝いにいらっしゃいます。建て主さんと職人が共に手を取り合いながら家づくりを行う事は、今、住宅業界で最も欠けている「つくる」という行為の重要さを再認識させます。職人の方も、見られている緊張感を感じながらの作業です。建て主さんに取っては、何物にも代え難い貴重な体験だと思います。住んでからもずっと自分が参加した家づくりの事を語り繋いで行く事でしょう。より長く残ってほしいと思う気持ちが結果的に長期住宅になるものだと感じます。
写真のノートは51年前の普請帳です。子供の頃家づくりに参加された現住まい手さんは、今でもこのノートを手にすると熱く当時の様子を語り始めます。私の祖父が携わった仕事を建て主さんから聞ける事はとても幸せな気分になります。


2009年4月5日

松の皮むき

地松梁の皮剥がしの様子です。今シーズンの松太鼓梁は、皮を剥がして磨き仕上をしてみました。

20MPクラスの高圧洗浄機に回転ノズルを付けて一気に鬼皮を剥きます。あま皮がほぼ取れた状態で金たわしとパームたわしで残ったあま皮を取り除きます。水で洗浄し、タオルで拭き上げると写真の様になります。荒ヌカが用意できなかったので、代りにたわしで磨いています。枝付きの丸太などもきれいに剥き上がります。1本出来上がる迄に90〜120分くらいかかりました。すぐに風通しの良いところで乾かし、雨がかからない様に自然乾燥します。使うのは1〜2年くらい先です。