大工だからできる家

木の家づくりには、木の知識や経験が必要です。
常に木に触れ、木を知り抜く大工棟梁と、
木の性質を活かしきる
家づくりをしませんか?
綾部工務店の大工棟梁、綾部孝司が書いてます。
2017年10月3日

くむんだーのホームページ公開されました!

全国くむんだー®︎木のジャングルジム協会が今年の春から動き出し、協会のホームページがつい先日出来上がり公開されました。
https://kumundar-kyokai.net

くむんだー®︎という木組みのジャングルジムは、今から6年ほど前、滋賀県に生まれました。発案者は川村工務店の川村さん。木の家ネット・埼玉はこの「くむんだー」に託された想いを伝えるため、「くむんだー」を用いた活動を始め今年で3年目になります。昨年から今年にかけて全国各地で活動する仲間たちが徐々に増えつつあります。

木を身近に感じるツールとして、大工体験ができるツールとしてこれからも活動の場を増やしていくことになりそうです。開催情報も発信していく予定ですので、近くで開催の際は是非ご参加なさってください。子供が主役のイベントですが、親たちがはまっていることが実は多いのです。


2012年10月25日

木の家づくり巡回展in川越

アースデイへの出展は終了いたしました。雨の降る悪天候の中ご来場くださった方々ありがとうございました。
当日の様子はこちらでご覧頂けます。今後も引き続きイベント出展の予定がありましたらお知らせ致します。
来たる10/28(日)、アースデイ・イン・川越が行われます。アースデイでは、職人がつくる木の家ネットの地域会「木の家ネット・埼玉」が、パネル展示や模型展示、小物づくりの作業体験などの展示を行います。お子様から大人の方まで楽しめるイベントになっておりますので、是非お越し下さい。
アースデイのちらしはこちらをご覧下さい。
木の家ネット・埼玉の木の家づくり巡回展はこちらをご覧下さい。

「アースデイ・イン・川越は今年で14年目を迎え、川越の自然の紹介をはじめ直面する地球上の生きもの、ゴミやエネルギーなどの環境問題について考え、地域に住む外国人との交流から国際理解を深めながら、「地球人」として世界の人々とともに、かけがえのない地球環境を守り、すべての人々と手を携えて平和と安全な世界を築く事を目的としたイベントです」


2012年8月26日

北上ふるさとプロジェクト

東日本大震災で大きな被害を受け、復興も遅れている石巻市北上町。
この先もそこに暮らし続けたい人たちのために、買い物や交流が出来、子供達も安心して遊べる建物づくりが始まります。
木の家ネットの有志数名出立ち上げた「北上ふるさとプロジェクト」は具体的な建設へ向け着々と前進しております。
可能な限り人件費や材料費を押えた工事計画を立てていますが、工事費用や内装備品に関する資金が不足しております。
皆様のご協力をお願い致します。
詳しい内容はこちらをご覧下さい。
リーフレットはこちらです。


2012年4月15日

小さな椅子~8年前と今~

野地板の端材を使って、幼児用の椅子を造ってみました。

左が8年前にくつったもので、今は落書きだらけになっています。子供達は椅子を斜めに置き上から角に載って遊んでいましたが、形は健全な状態でまだまだ使えそうです。右側が今回つくった真新しいものですが、並べてみるとそれぞれ違った良さがありますね。家づくりの際には出来た端材で家具やおもちゃをつくってみては如何でしょう。


2011年11月2日

熟成

 無垢の木が美しく仕上る年数と木造住宅の減価償却耐用年数は奇しくも同じ年数である。それが良いか悪いかは別として、時がつくりだす価値に付いて考えてみたい。
 人工素材と自然素材の劣化は共に建てた時点から始まっているが、両者の違いは劣化したものがそのまま劣化し続けるか、劣化し一時汚くはなるが別の美しさが出てくることだろう。
 人工素材は建てたときが美しい状態で、出来るだけその美しさを維持するべく表面にコーティングをするなど工夫を凝らしている。ところが時間の経過とともにだんだんと美しさが減ってしまう。
 自然の素材は、新築から2年から5年程度にかけて雨シミや変色ムラで一番汚い状態を迎える、木肌の美しい建築当初の表情とはかけ離れてしまうこともある。10年を超えるとだんだんと変色ムラなどがわからなくなり次第に経過年数相応の落ち着きのある色彩と表面の質感に変化していく。熟成という言葉が相応しい年数は30年を超えた頃からだろう。その頃には住まい手の家族も建物とともに円熟味を増しているだろう。

50年経過した自宅の杉の戸袋


2011年1月24日

構造見学会

構造見学会のお知らせをHPニュース欄に掲載しました。


2011年1月9日

1/2の成人式

1/2の成人式が行われます。聞き慣れない言葉ですよね。
私は父親として参加する予定です。
詳しくはこちらをご覧下さい。


2009年4月12日

参加してみる

自分の住む家を良く知る為には、一緒になってつくってしまう事が手っ取り早い方法の一つです。もちろん参加しにくいと言われる大工工事も参加することができます。只今刻み中の住宅は毎週土曜日建て主さんが手伝いにいらっしゃいます。建て主さんと職人が共に手を取り合いながら家づくりを行う事は、今、住宅業界で最も欠けている「つくる」という行為の重要さを再認識させます。職人の方も、見られている緊張感を感じながらの作業です。建て主さんに取っては、何物にも代え難い貴重な体験だと思います。住んでからもずっと自分が参加した家づくりの事を語り繋いで行く事でしょう。より長く残ってほしいと思う気持ちが結果的に長期住宅になるものだと感じます。
写真のノートは51年前の普請帳です。子供の頃家づくりに参加された現住まい手さんは、今でもこのノートを手にすると熱く当時の様子を語り始めます。私の祖父が携わった仕事を建て主さんから聞ける事はとても幸せな気分になります。


2008年9月15日

山の木々の行方

山を見渡すと豊富な森林がいつまでもあるかのように思えます。
今、多くの森林所有者は、世代交代を機に林業を離れているそうです。先祖から受け継いだ資産としての森林意識は薄れ、原木のバイヤー達からの買い付けに対し、木の家を造るための無垢の材料にではなく、合板や集成材、燃料チップへと続くルートへ材料が大量に流れているそうです。
素材の持ち味を生かし、自然との共生を考えながらの家づくりは、ますます造りにくくなる事が予想されます。耐震化という表向きの表現に、合理化材料による短命化や経済至上主義が隠されている事を生活者である建て主の方々やつくり手達は知る必要がありそうです。国が奨めるストックとなりうる超寿命住宅のお手本が古民家であるように、私たちは将来を見据えた真実を知る必要があるでしょう。
山や林業の原状を市民皆が考え、日々の生活や住まいづくりのときに考える事や市民運動として結束する事の重要性を痛感しています。
今年から来年にかけ様々な団体が、シンポジウムやセミナーなどを開催していく予定です。こちらのサイトでも可能な限り紹介していく予定でおりますので、地球市民としての皆様のご参加をお願い致します。
写真は、建築や林業の関係者が木の文化の再構築を討論をしている様子です。(around40’sの集まり)


2008年1月8日

200年後に残すために

200年住宅の構想が国から出されています。200年住宅に必要な性能として私は次の内容も必要になってくると考えております。
・長持ちさせるためには、100年後、150年後にも安価に部品を提供できなければならない。
・長く住みたいと思える美しさや、変幻自在な機能性を備えていなければならない。
詳しい内容は後ほど続きにて。

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2007年4月8日

屋敷森

冬の北風に備え農家の敷地内には屋敷森(やしきもり)という防風林がありました。今でも時々は見かけますが世代交代や家の建て替えのときにその多くが消滅しています。理由は管理が面倒などの理由でしょうか。屋敷森は防風のほかに家を建て替える際の柱や梁としても使われ、先代、先々代からの無言の意識を受け継ぐ方法としても意味あるものであったようです。娘が生まれたら桐を植えるという文化と同じような意味が含まれていたように思えます。
メディアでは毎日のように各地で緑が消滅している事実を伝えています。熱帯雨林の大量伐採ばかりに目が奪われそうですが、実は身近な緑を失わないよう少しでも増やすことが大切です。
屋敷森は敷地の関係で難しいのかもしれませんが、可能な範囲で緑を増やすことをお薦めします。1軒で何本か木を植えると全体で何百万本かの緑が増えます。実は無垢の木で作った家に住むと緑が欲しくなるのも事実です。人工のものでは味わえない感性を住まいながらに持つことが出来るのでしょう。住宅地が良く変わっていく姿を想像すると楽しみです。


2007年4月7日

換気を考える

24時間換気設置が法律で義務づけされて以来、真新しい住宅の排気口からはホルムアルデヒドなどを含む汚染された空気が屋外に次々排出されています。隙間無く建て込んだ住宅地の界隈では、概ね南側から空気を室内にいれ、汚染空気を北側に排出し、その空気を含んだ空気を北側の家が取り込み、また北側に排出する、さらにそれが次の家に続き、、、。
根本的な解決は行わないのだろうか。いつも不思議に思っています。私は大工として現場作業をしていますが、無垢の木材ばかりを扱っているうちに、化学物質を含む材料に敏感になってしまった様です。それ故、街のいたるところで開発されている住宅群を見るたびに住み手に同情さえしてしまうこともあります。
もっと根本的な方法で家づくりの素材や工法を考えないと、室内だけではなく周辺の空気汚染まで自分たちでつくり出してしまうのです。そのことを住まい手造り手そして国をあげて考えることが出来れば今よりももっと良くなるでしょうね。早く気づいて欲しいと思います。


2007年1月29日

温暖化防止の家づくり

「素材のままに材を使用した家づくりは、製造エネルギーや廃棄時のエネルギーを抑えます。素材の特性や自然のエネルギーを利用した住まい方は生活時のエネルギーを抑えます。そして、長く住み続けることは何よりも無駄を減らします。結果的に自然環境を守り、自分自身の住みやすい環境をつくることが出来ます、、、。」
こんな話を延々と建て主の方とお話しし続けて参りました。大工がエコノクラート(生態人)として仕事をしてきた時代が過去にあり、今再び環境のことを考えながら仕事をしはじめています。
各地で国産材を使う運動が起こっています。ところが、林業家や製材所の廃業は後を絶ちません。埼玉で先日、林業関係者や県、大工たちが一同に会した話し合いが行われました。それぞれの立場意見は異なりますが、お互いを知ることにより良い方向へ進んでいくような気がしました。
自然の恵みを受け、環境に悪影響を与えずに行う家づくりは皆が力を合わせ行うものです。過剰な利便性と過剰な性能の追求、人間中心の家づくりはそろそろ卒業し、未来のために今しなければならない家づくりを行っていく時期に来ているようです。

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2006年12月30日

手で刻む訳

いま造られている木造住宅のほとんどがプレカット加工されています。プレカットは手刻みの何十倍ものスピードで加工することが出来、夜も稼働していますからとても手刻みではそのスピードについて行くことが出来ません。プレカットを利用するとその便利さ、価格の安さゆえに経営的な立場から考えると、多くの場合利用し続けることでしょう。私も以前利用したことがありましたが、大工としての立場から考えると木の特性を生かしているとは言えず、以降手刻みで加工を行っております。電動工具を併用している訳ですが、プレカットとの大きな違いは材料を吟味することが出来ることです。特に木材を見せるつくりとした場合、木材の美しさを生かしながら加工をするには一本ずつ触れなければなりませんし、同じ山で採れた木でも強度や曲がり具合もそれぞれ違いますので、それぞれの特性が生かされるように木配りをする必要があります。材の状態によっては寸法をわずかに変える場合もあります。そして何よりも木を見極める目は触れ続けなければ鈍化してしまうのではないかと私は考えております。大工は一本一本の木に愛着を感じ、そしていとおしみながら木を加工をし現場に運びます。私にとってプレカットの家づくりは機械的な処理にしか感じられなかったため今は利用しなくなってしまった訳です。長柄や複雑な加工が機械で出来るようになったとしても、やはり手刻みとは違うように思うのです。


2006年12月5日

木の乾燥(乾燥と変形)

木の変形は含水率100%以上(伐採時)から30%程度になるまでの間は起こりにくく、30%を下回り始め気乾状態といわれる15%前後の安定した状態になるまでの間に発生します。では木は乾燥するときにどの程度変形(曲がりや捻れ)するでしょうか。1本ずつすべて変形が違いますので一概にはいえませんが、杉や桧の4寸角4メートル材の場合変形(曲がり)しても10〜15ミリ程度でしょうか。あて材などは30ミリ程度変形することもあります。松や広葉樹はさらに変形が激しい場合もあり、住んでから屋根を持ち上げるほど変形した山桜の梁の話を聞いたこともあります。変形が激しい木は若木が多く、木も人間と同じで樹齢を増すごとに安定し、乾燥してもほとんど変形しないものもあります。
写真は、ねじれた松の木です。若木の部類に入りますが角材にしなければもう少し変形は少なかった筈です。丸太の状態で安定していたものの周囲を挽き取ってしまったのでこのように狂ったようです。
もう一枚の写真はねじれた木を受ける下木加工のものです。刻み加工の際に上木(桁)の変形が予想されたため、建て方時にねじれを写し取り納めました。
手加工による場合は真墨を基準に加工しますので、曲がろうが捻れようが加工できるわけです。機械加工のプレカットなどは、多くの場合外形を基準に加工をしますので変形した材は加工が苦手です。このため、人工乾燥などで変形を起こさないように表面を固めてしまうことが必要となる訳です。プレカットに天然乾燥だけでは、ある程度の仕口のがたつきを容認しなければならないでしょう。手加工でも適度に乾いている必要はありますが、、。
天然乾燥ならば、一本毎の乾燥度合いに応じた仕口の堅さや形状を調整できる手加工。人工乾燥ならば、堅く固まってしまった材でも加工の容易な、外形基準のプレカットが向いているようです。
次回は乾燥方法による色の違いなども取り上げてみたいと思います。