梁は木を水平に横使いとして通常屋根や床の荷重を支えるものですが、時折やってくる台風や地震の様なものに対しても、家を守る要となってくれます。では、それら横からの力に耐える梁とはどのようなものでしょうか。最近多く使われている、短ほぞ差しや蟻落としの小間切れになった梁ではおそらく難しいでしょう。昔からの古民家に見られるような大黒柱に差し込まれた牛梁や差し鴨居、段違いに組まれた小屋の梁などは横からの力を適度に吸収、適度に柱に伝達し、地震力などを分散、減衰させて建物が倒壊しないように働いています。壁や下地合板がなければ変形してしまう建物とは違うつくりになっています。
建て方を経験すればよくわかりますが、渡りあごで組まれた連続梁を使った建物は仮筋交いを使わなくても揺れが少なく安心して建て方を進めることが出来ます。長めの梁を組んだとたんに揺れが止まる事実は大工や鳶ならば知っていることですが、なかなか口頭では説明しにくいものです。金物類で締め付けるよりもずっとしっくりと納まる感じです。
では、具体的にどのように梁を配置すればよいのか。まずは、端から端まで同寸で通すことだと私は考えます。そして、出来るだけ整理して配置することが重要です。柱の間隔が半間であろうが2間であろうが、同寸の材を一定間隔に配置し、桁行き方向、梁間方向共に通すことが出来れば、安定した架構をつくることが出来ます。柱がたくさん建つからそこだけ小さい梁にしてなどという経済性最優先のつくりではなく、長期的な耐久性を持つ梁の架け方を再び先人に学ぶ時期に来ているのではないかと思います。構造美の復活を願います。
2006年4月19日