大工だからできる家

木の家づくりには、木の知識や経験が必要です。
常に木に触れ、木を知り抜く大工棟梁と、
木の性質を活かしきる
家づくりをしませんか?
綾部工務店の大工棟梁、綾部孝司が書いてます。
2006年6月25日

木の外壁

外壁に板を張ることが当たり前だった時代、新築や外壁を修繕した家は周囲の家からひときわ目立った存在になったことでしょう。住まい手は家を大切に使おうという気になり、造り手は見守り続ける気持ちを新たにしたに違いありません。また、周囲の住民はその木肌の美しさに見とれ木を見ながら生活することを心地よく感じていたことでしょう。そして、左官壁と木肌で統一された美しい街の景観がそこにはあったはずです。
最近板張りの外壁を多く施工しますが、通りすがりの方や見学会に来られた方は改めて木の美しさを発見され、しばらく眺めている方もいらっしゃいます。今では、外壁に板を張ること自体が珍しいことになってしまい、その美しさを忘れかけていることが非常に残念でなりません。木は長持ちしないどころか、使い方を間違えなければ数十年間メンテナンスフリーであることは、意外に知られていないことです。法的に木が張れない地域では、土壁と併用するなり、部位を限定することで張れる場合もあります。新建材や化学素材に囲まれた生活が良いのかどうかを街の美観や環境保護の立場からも住まい手、そして造り手が考える時期に来ているようです。
写真の家の住まい手は、30年後に美しく味わいの増す外観を求めていましたので、無塗装の板張りとしました。適度に木が風化した様を美しく感じるかどうかはその人の美観や価値観によるとは思いますが、幾多の風雨に耐えたその姿を造り手である私は美しいと感じます。