大工だからできる家

木の家づくりには、木の知識や経験が必要です。
常に木に触れ、木を知り抜く大工棟梁と、
木の性質を活かしきる
家づくりをしませんか?
綾部工務店の大工棟梁、綾部孝司が書いてます。
2006年12月30日

手で刻む訳

いま造られている木造住宅のほとんどがプレカット加工されています。プレカットは手刻みの何十倍ものスピードで加工することが出来、夜も稼働していますからとても手刻みではそのスピードについて行くことが出来ません。プレカットを利用するとその便利さ、価格の安さゆえに経営的な立場から考えると、多くの場合利用し続けることでしょう。私も以前利用したことがありましたが、大工としての立場から考えると木の特性を生かしているとは言えず、以降手刻みで加工を行っております。電動工具を併用している訳ですが、プレカットとの大きな違いは材料を吟味することが出来ることです。特に木材を見せるつくりとした場合、木材の美しさを生かしながら加工をするには一本ずつ触れなければなりませんし、同じ山で採れた木でも強度や曲がり具合もそれぞれ違いますので、それぞれの特性が生かされるように木配りをする必要があります。材の状態によっては寸法をわずかに変える場合もあります。そして何よりも木を見極める目は触れ続けなければ鈍化してしまうのではないかと私は考えております。大工は一本一本の木に愛着を感じ、そしていとおしみながら木を加工をし現場に運びます。私にとってプレカットの家づくりは機械的な処理にしか感じられなかったため今は利用しなくなってしまった訳です。長柄や複雑な加工が機械で出来るようになったとしても、やはり手刻みとは違うように思うのです。