大工だからできる家

木の家づくりには、木の知識や経験が必要です。
常に木に触れ、木を知り抜く大工棟梁と、
木の性質を活かしきる
家づくりをしませんか?
綾部工務店の大工棟梁、綾部孝司が書いてます。
2007年6月9日

長持ちさせたくなる家

 先日20年以上使い続けていた壁掛け時計が壊れました。この時計は、高校時代の工作の授業にて私が作ったもので、木を丸く加工し、文字盤を付け中央に時計部品を取り付けた一般的なものですが、捨てる気になれず、しまう気にもなれず使い続けてきました。新しい時計は別にあり、そちらのほうが時間は狂わないし見やすいし、機能はずっと自作の物より優れていますが、自作のものを超える愛着は湧かず、時々時間調整をしながらでも自作時計を使い続けてきました。時計部分が壊れた今でもやはり捨てる気にはなれず、修理する予定でいます。
 住まいも本来はそのように時々直しながら住み続けるものでありたいと私は常々考えていますが、いかがなものでしょうか。時代が変われば生活様式も変わるし、設備も変わる。その時代に合わせた家を造ったつもりが、すぐ時代遅れとなり、新しい家が欲しくなる。その流れがいつしか住み継ぐ家から着替える家へと意識を変えさせ、家を商品と捉えるようになってしまいました。確かに商品としての家を購入することは便利だし、参加型の家づくりよりも時間や労力が少なく済むかもしれませんが、住んでからの家に対する愛着も少なくなってしまいそうで心配です。長持ちする家は、住まい手、造り手が長持ちさせたくなる家でなくてはならないようです。そのためには、、、、。