大工だからできる家

木の家づくりには、木の知識や経験が必要です。
常に木に触れ、木を知り抜く大工棟梁と、
木の性質を活かしきる
家づくりをしませんか?
綾部工務店の大工棟梁、綾部孝司が書いてます。
2008年1月1日

持続可能な社会と木の暮らし1

先日テレビを見ていると、ある方が地球温暖化を防ぐ方法の一つとして割り箸を使った方がよいと話していました。私の家族は驚いていましたが、見る角度を変えると納得できると思いました。もちろん国産材を使ったものに限りますが。
普段木を扱う仕事をしていると、端材の多さに驚きます。柱や梁の切り落とし、そして電気カンナやカンナの削り屑。私はこれらの端材が上手く使いこなせないものかといつも考えています。今のところは、次のように処理していますがもっと良い方法が見つからないものかと考えています。
・柱や梁の端材:小材料に加工して棚や下地材、薪ストーブ燃料、炊事や給湯の燃料(※)
・削り屑や切り屑:土と撹拌して農業用の肥料、燃料
使い道のない材や屑は焼却処分しているものもありますが、いずれバイオエネルギーの一種として使われることを願っています。
木を使うことと温暖化防止は相反することのように感じるかたもいらっしゃいますが、適切な時期に植林木を伐採し、再度植林をして次のサイクルで使用するという行為が重要です。管理されていない森林を残すよりも定期的に更新し活発な若い森をつくっていくことが二酸化炭素削減にも効果があるわけです。伐採した木材は、無駄なく使い廻すことも必要です。製材品(無垢木材)では約60バーセント、集成材では約30パーセントが製品の歩留まりです。つまり製品に使えない部分を上手く、なるべく製造エネルギーを押さえながら活用することがこれからの課題となるでしょう。文頭で触れましたが、割り箸に利用するのも一つの方法かもしれません。しかし利用後薪に使用できるなどのさらなる活用があったほうが良いでしょう。もう一度自分たちの生活や将来と日本の木との関わり合いについて考え、具体的な行動に移していく必要がありそうです。
※:木を焼却した場合、成長に必要であった炭素以上に炭素は出ませんので、自然のサイクルの中で薪燃料を使用することは森林資源の健全な利用に繋がります。CO2排出量が灯油の25パーセント程度である薪燃料を上手に活用するのも温暖化防止に効果がありそうです。